序章

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   今回の出来事は、私のちっちゃな価値観を改めて教えてくれた。  この退屈な……平和な日常こそが、かけがえの無い幸せなんだと。  私達の生活が如何に『知らないこと』の上に成り立っているのか?  そして『知らないこと』に守られているのか?  広大な宇宙から見れば、この地球は本当にちっぽけな存在でしかない。  そのちっぽけな存在の中の、更にちっぽけな地域に息づく私達は取るに足らない豆粒のような存在なんだ。  その存在は、自分たちで『しっかりと地に足をつけて立っている』と得意になっている。  そう思っているのは自分たちだけだということに気付かずに……。  かく言う私もあの一件が無ければ、きっと無意味な日常を送っていたのだと思う。  そう、彼らとの出会いが全てを変えた。  日常の中に潜む『非日常』とともに、私の常識さえも塗り替えていった。  そして私が私であるために、生きるという意味を考えるきっかけになっていくのかもしれない。  こんなにも大切な『無意味な日常』を。  こんなにも大切な『かりそめの友情』を。  こんなにも大切な『無気力な生活』を。  もしあの一件が無ければ、こんな事を考える事は今まで無かったと思う。
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