第1章

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  「あ~あ、誰か私を宇宙へ連れてってくれないかな」  こんな日常から抜け出せるなら、喜んでついてくのに。 「そうだな、その時は声かけてくれよ。 一緒に行くからな」 「何であんたが一緒に来んのよ」 「そんな連れないコト言うなよ。架苗と俺の仲じゃないか」  両手を掴んで、涙目で懇願。  いちいちオーバーなアクションをする紫暮は昔とちっとも変わっていない。  少しは成長しろよ、と思う反面そこが紫暮の良さでもあるのかな。  ついつい顔がほころんでしまう。 「しょ、しょうがないわね。その時は誘ってあげるわよ」  紫暮の手を振り切って、そっぽを向きながら言葉を吐きすてる。  握られていた手に紫暮の温もりが残っている。  この温もりやあの真っ直ぐな瞳のせいで私素直になれないんだ。  そう、紫暮が私を素直にさせてくれない……。 「それでこそ俺の相方だ」 「いつあんたの相方になったのよ」 「昔からに決まっているだろ」  何当たり前のコト言っているんだ。と言わんばかりの笑顔で答える紫暮。  私また非道いこと言ってるね。  なのに何でいつも笑顔でいられるのよ。  なんだろ。急に寂しく思えてきた。 「そろそろ帰る……」  やるせない思いのまま、言葉を吐き捨てた。  私また自己嫌悪になってる……。  いつものやり取りと言えばそれまでだけど、相手が紫暮だから繰り返してるんだ。小さいときから側にいる紫暮だから……。  家に帰れば、両親の期待を背負う『娘』と言う役割が待っている。  私じゃない私が待っているんだ。  再び退屈な日常の繰り返しがまた始まる。  帰る気持ちも足取りも重くなるよ。
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