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何度目かの交代を経て、打席の少年が快い音を響かせた。
「打った!」
百合子が歓声を上げて、何となく私もわくわくする。
「すごーい、ホームランだ」
ボールの行方を追って立ち上がった百合子が解説を入れる。
私は座ったまま、打った少年が塁を駆け抜けるのをじっと見ていた。
守備陣があたふたと動き、それぞれのベンチと応援席から様々に声が飛ぶ。
「キミもあんなふうに、元気になるんだよ!」
子猫にその光景を見せながら、続けた。
「どこまでも、好きなだけ走り回れるよ」
風を切って走れるよ。
気持ちいい風に吹かれて、私たちは笑いあった。
「そして、世界にたっくさんある楽しいこと、もっともーっとしようね!」
頑張って、元気になろうね!
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