三喰目

3/8
前へ
/41ページ
次へ
「うわぁ!」  ツバサは後ろからの猛攻を避けきれず吹き飛ばされた。 「ケホッ、…追いつかれちった」  物陰を利用しながらウロヴォロス堕天を引き連れ、ついにこの広場で捕まった。もう逃げるに逃げれない状況である。 「面倒くせ~…でもやるしかないかぁ」  過去の苦戦が脳裏に蘇る。あの時は8回戦闘不能になってしまった。 「でも…今度は色々と状況が違うからなぁ」  武器は比べ物にならないほどに強化を重ねてきた。あの時とは違う。同時にもう一つ違うのは一人で闘うというリスク。それが意味するのは 「倒れるわけにはいかないんだなぁ」  普段もツバサはあまりソロ任務を行わない。そのためこういう状況に全くといっていいほど慣れていなかった。 「よし、とにかく距離をとりながら狙撃中心でいこう」  そう言いながら内蔵破壊弾に並ぶ実用性を秘めるバレット、脳天直撃弾を撃つ。大体の方向さえ向いてしまえば後は勝手に高性能な前方向ホーミング弾によって対象にヒットし、張り付いた球からサイズLのレーザーが飛び出す仕組みになっている。  シンラがレシピを教えてくれたが、彼も他の支部のゴッドイーターから教わったと言っていた。これほどにまで実用性のあるバレットを作った人物に同じ神機使いとして憧れと尊敬を持つ。  話によるとその人物も新型ゴッドイーターだとシンラが言っていた。アラガミの討伐タイムが常に最速クラス、どんな任務も一人でこなす事が出来るほどに腕が立つと。  そして今、その人の思いのこもったバレットでウロヴォロス堕天にも一人で立ち向かう事ができる。 「…はず」  心配性なツバサに、まだその自信はなかったが…。 「いや、今日こそ成功して自身をつければいいんだ」  まずは自分を落ち着ける。そして 「行くぞ!」  正面から突撃する…のはもちろん振りだけ、動きに緩急をつけ、走りを加速しながら側面に回る。そして引き金を引いた。  ガァン!ガァン!  連射してまた動く。ウロヴォロス堕天がこちらを向く前に常に相手の死角を取るように、流れるように意識しながら動く。   ――円の極意――  ガァン!…カチッ! 「あ、OPない…」  そうなれば斬り込むしかないのは当たり前。 「いやいや、こんな事もあろうかと…」  ツバサはポーチからOアンクルを取り出し、使った。 「これで闘うのが安全だからね」  そして再び動き出した。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加