五喰目

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「やはり集中力も落ちている…」  危険だった。これ以上続ければ最悪四人とも死んでしまうかもしれない。リーダーとしては退くべきだと分かっている。  しかし、極東支部最後の任務になるであろう今回。途中でリタイアしたくは無い、という本心もある。  迷いに迷ったその時、シンラは倒れた二人を見た。  動けない体を無理に動かし、なんとか立ち上がろうとする二人の姿を。  そして、決めた。  二人のそばに駆け寄り、手早くリンクエイドをする。 「これで最後にしてくださいよ」 「この程度なんですか?」  リンクエイドするたびに言ってきた、倒れた仲間を起こす時に言う言葉。あえて嫌味に言い、味方を奮起させてきた。  だがしばらくは彼らに言う事もなくなるだろうと思うと自分の決断は果たして合っていたのだろうかと思う。  起き上がったジョンソンはそれを見透かしたかのようにシンラに声を掛けた。 「ありがとう、これが最後だ」
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