一喰目

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 シンラが場所を気にした理由。エイジスは今現在アーク計画が失敗した日以来、建設中だった対アラガミ装甲が吹き飛び完全な危険地帯と化している。居住予定地をアラガミが闊歩し、アラガミ装甲の残骸をアラガミが喰らいさらに肥大する。最近ゴッドイーターはエイジスでの任務が増えていた。  シンラたちも何度か足を運んでおり、高台も隠れることの出来る物陰もないエイジスでは多少苦戦を強いられる。 「榊博士、第一部隊は?」  第一部隊とはアーク計画の阻止においてかなりの奮闘を見せ、見事に阻止したのだ。アナグラの、いや世界中のゴッドイーターのなかでも凄腕と言われる実力者たちの部隊だ。新人のゴッドイーターは任務になれるまではこの部隊で経験を積み腕を磨く。四人もそうだった。 「彼らは他の任務に当たってもらってるんだ」 「そうですか」 「…さて、君たちの答えは決まったかな?」  シンラは他の三人を見た。  ウロヴォロスとは一度だけ闘った事があった。しかし、そのときは難易度5と断定されていた任務であったし、それでさえ初見の相手に大苦戦をした。  最後の最後にジョンソンが飛び込んで掛けに近いインパルスエッジの連射で倒す事ができたが29分53秒というタイムで、アイテムを使い果たし、なおかつリスボーンを2回していた。  あんな相手と今度は堕天種、難易度9と認定されていた。 無論彼らの武器も技術もそのころとは比べ物にならないほどに進化している。 「…僕はやってみようかと思います。僕らがやらなくてはいけないのでしょう?」 「シンラ君、ありがとう。…残りの三人はどうするんだい?」  シンラも三人を見る。シンラの思う最高の仲間であり、彼らとなら出来るかもしれない。  だがゴッドイーターも所詮は人間だ。前のこともあるし、決めるのは彼らの勝手なのだから無理強いをしたくは無い。  もし自分の決断が彼らにプレッシャーをかけているとするなら言っておかなくては、と思って口を開こうとしたときだった。 「シンラがやるって言ってんだから俺が逃げるわけにはいかないなぁ」  ジョンソンだった。  彼は最近メキメキと力をつけている。極東支部のロングソード使いで彼に勝るものはいないと言われるほどになった。その剣技の切れから"阿修羅の剣聖"と謳われ恐れら、一時期は彼に冷たい視線を浴びせるものも少なからずいたのだが…。
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