ひまつぶしの鎮魂歌

あれを見た後の俺

「おっ！　この味が分かるのか」

今までに興味本意ではとむぎ茶を飲んだ奴は「普通のお茶」としか言わないのでこいつも同じだと思っていたが、違うようだな。

「ええ、すっきりしていて戦闘の後の喉に最高ね！」

…少し着眼点が違う気もするが、まあいいだろう。はとむぎ茶を好む奴に悪人は存在しないからな。

「ところで……お前が飲んだそれは、さっきまで俺が飲んでいたやつなんだが」

はとむぎ茶は今日一日の消費量分しか持ってきてないのに、こいつが半分以上飲んでしまったから授業間休憩に飲めなくなる。

皮肉のこもった俺の一言にこいつは何を勘違いしたのか、顔を紅潮させて震えている。嫌な予感がするのは気のせいではないだろう。

「か、かかか、間接キスしちゃったじゃない！」

再び、視界が揺らいだ。