プロローグ 鬼降ろしの儀

2/2
378人が本棚に入れています
本棚に追加
/197ページ
「本当にそれでいいの?来るか、来ないかも分からないのに?」 「来るわ。そういう子なの……」 何かを思い出すように、目を細める。 「分かったわ。約束する。……じゃ、始めましょう」 そう言い、私はその場に座り込んだ。 すると、刀を持っていた巫女が赤い着物の少女に近付き、刀を手渡した。 赤い着物の少女が真っ白な鞘から刀を取り出し、その輝く刃を私の首筋へと当てた。そして、大きく振りかざした。 しゅん、と空を滑る音。 私の身体から、吹き上げる真っ赤な体液。 ベチャリ…と、鈍い音を立て、血の海に私の頭が落ちた。 「では、依り代による奉納を」 何も思わない、何も感じない。そんな冷たい声が、再び重なり合い、響き渡った……
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!