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「それにね。佐倉ちゃんは一人じゃない。工藤くん、神崎くん、朝倉ちゃん、緒方くん、青木くん……もはや蜜姫の秘密は数人の知るところとなってるけど、それが強みになるんじゃないかと僕は思うんだ。――――そうは思わないかい、瑠華」
蓮見瑠華はその整った顔を盛大に不満げにしてみせた。
「名前で呼ばないでちょうだい。――……もう、あの頃とは違うわ」
「あはっ、そうだったね。でも、君はあの頃とぜんぜん変わってないよ? 自信満々な口振りや頑固なとこがね。あと……キスしようとした時に繰り出すあの強烈な蹴りとか」
「それ以上昔のことほじくったら、その蹴りをお見舞いするわよ!」
「わぁーっ勘弁勘弁!!」
「ったく……」
理事長は彼女とのやりとりが楽しくて仕方ないとでも言うように、満面の笑みを浮かべた。
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