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「理事長」
理事長室から外を眺めていた彼は、音もなく現れた彼女に特に驚いた様子を見せなかった。
彼女の登場はいつも唐突なのだ。嫌でも慣れてしまう。
「やぁ蓮見くん。……生徒たちの応援は?」
「私のクラスの生徒たちは最も優秀なのよ。応援せずとも、必ず勝つわ」
「その自信はどこから来るのか僕は不思議でたまらないよ……」
彼はようやくそこで振り返り、やってきた彼女と対峙した。
「……で、僕に報告があるんでしょう?」
「そうよ。……『あの子』から連絡があった。奴らは今日明日中にでも行動を起こすつもりだ、と」
「奴らって君……言葉が悪いって」
そんな彼の呟きを無視して彼女は続けた。
「ねぇ、これで良かったのかしら。佐倉織音を学園に再び通わせることにして。蜜姫の彼女をこれ以上危険にさら……」
「そのために僕らがいるんだろう?」
理事長はさっきとはうって変わっていつになく真剣にそう言った。
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