night+11 譲れないモノ

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  「理事長」  理事長室から外を眺めていた彼は、音もなく現れた彼女に特に驚いた様子を見せなかった。  彼女の登場はいつも唐突なのだ。嫌でも慣れてしまう。 「やぁ蓮見くん。……生徒たちの応援は?」  「私のクラスの生徒たちは最も優秀なのよ。応援せずとも、必ず勝つわ」 「その自信はどこから来るのか僕は不思議でたまらないよ……」  彼はようやくそこで振り返り、やってきた彼女と対峙した。 「……で、僕に報告があるんでしょう?」 「そうよ。……『あの子』から連絡があった。奴らは今日明日中にでも行動を起こすつもりだ、と」 「奴らって君……言葉が悪いって」  そんな彼の呟きを無視して彼女は続けた。 「ねぇ、これで良かったのかしら。佐倉織音を学園に再び通わせることにして。蜜姫の彼女をこれ以上危険にさら……」 「そのために僕らがいるんだろう?」  理事長はさっきとはうって変わっていつになく真剣にそう言った。
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