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家に帰るなり、織音は部屋に閉じ籠ってしまった。夕飯にも顔を出さなかったため、純も望も心配したらしい。何度か織音の部屋に行ったが、暗い顔をして帰ってきた。
「今日は考え事するから、織音の分食べてもいいよ、って」
ちゃっかりしてるのか、純も望も雅も、織音の皿から自分達の皿にハンバーグを移した。織音の好物のハンバーグだ。三人のおいしそうに食べる姿が、織音の姿と重なって見えた。
蓮は食事のあと、織音の部屋を訪れた。
コンコン
「入るぞ」
返事がないまま入ると、蓮の鼻腔に甘い匂いが広がった。酔ってしまいそうなほどに、甘い匂い。蓮は理性をフルに働かせて中へと進む。
当の織音はベッドの上で仰向けに寝ていた。天井をただぼうっと見つめている。
蓮はベッドの端に座った。重みでベッドが何度か上下した。それでも織音は起きない。
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