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……眠い。
「………」
「…?どうしたの恭弥ぼーっとして」
「いや、何でもないよ」
(貴方と一緒の布団で、ドキドキして眠れなかったなんて…)
昨日までは何ともなかったのに。
それに、
昨夜は、恭に対するこの気持ちが分からなくてずっと考えてた。
彼は他とは違う。普段の僕なら一緒に行動するなんて嫌だし無理だ。絶対咬み殺す。でも彼は……どうしてもそんな気持ちになれない。むしろずっと一緒に居たいなんて…。
彼に名前を呼ばれると、彼に触れられると、彼に笑いかけられると
胸の奧がきゅってなって苦しくなる。
(……病気、なのかな?)
ねぇ、苦しいよ恭。この訳のわからないこの胸の高鳴り、どうにかしてよ。絶対、原因は貴方のせいだから。ねぇ…早くどうにかして…。
「………っ!恭弥!!」
「…え?」
「危ない!」
彼が物凄い険相で此方に走ってくる。
上を振り向くと、目の前には大きな壷が棚から落ちてきて僕に当たる目前だった。
恭が走って来たものの、間に合わなくて、僕の額に壷が直撃してそこで僕の意識は途絶えた。
途絶える意識の中、最後に見えたのは、焦る彼の顔だった。
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