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言ってしまった。恭が好きだって事。
苦しくて、こんな気持ちになる事は初めてで…。思わず、気持ちが口に出てしまった。
(普通に考えたらおかしい…よね)
だって彼は男で、自分も男だ。それに僕は10年前と言えど、彼自身だ。そんな相手に告白されたって困るだけなのに…。
後悔ばかりが後から押し寄せてきて、涙が出てきた。
(でも、それでも…僕は彼が好きなんだ)
「………」
「………恭」
ずっと無言だった彼と目が合った。
「…今言った事は、忘れて」
「………恭弥」
「ごめん。気持ち悪い、よね?」
でも、
「でも、貴方が好きな事は本当だから…」
「…恭弥」
だから
「ごめ………」
「恭弥、少し黙ってて」
ごめん。と言おうとした時、急に恭が腕を掴み。僕を抱き寄せた。
「…え?」
「………恭弥」
彼の大きな手が、僕の頬に添えられ。顔が近づけて―…。
「……きょ、…んっ…」
(どうして………)
(何で、キスするの?)
分からないよ、恭。
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