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あり得ない。
いきなり赤ん坊に10年バズーカなるものを、僕の承諾なしに(と言うか勝手に)打たれ、次に目が覚めたら10年後に居るし目の前に10年後の僕が居るし、しかも…
『まだ帰れない』
だなんて本当にあり得ない。と言うか赤ん坊勝手すぎるでしょ、帰ったらこれを口実に無理にでも僕と戦ってもらおう。そうでもしないと苛ついてしょうがない。
「さっきから、何を怒ってるの?」
「……別に」
「どうせ、帰れなくて苛ついてるんでしょう?」
「…………」
「今更そんな怒ったってどうにも出来ないんだ。もう遅いんだし今日は寝てるんだね」
そう言って、10年後の僕は寝間着用の着物を差し出した。
そしてその寝間着に着替えた後、
「あぁ、そうだ。明日草食動物達の所に行くからそのつもりで」
「え?」
「君の事、一応報告しとかないといけないからね」
確かにこちらの10年後の世界でなら10年前の世界に帰れる方法が分かるかもしれない。
「…ところで、」
「何だい?」
「コレ、僕どこで寝るの?」
「決まってるじゃないココだよ」
そう言いながら、自分の潜り込んだ布団をポンポンと叩いた。
「……まさか一緒に寝る、とか言わないよね?」
「そのまさかだよ」
「何で、もう一組くらい…」
「残念ながら無いよ。だから一緒に寝るって言ってるんでしょう?」
「…………」
「まぁ、そのまま座敷に寝てたいって言うなら僕は別に構わないけど」
「…わかったよ」
誰かと一緒に寝るなんて、初めてだ。だから尚更、変な感じがして、ドキドキして…でも人肌の心地よい温かさに安心して、僕はいつの間にか寝ていた。
「クス…可愛いね」
そう言って頭を撫でられているとは知らずに。
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