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嫌な夢から覚めたら、誰かに抱き締められていて、気付いたらそれは10年後の僕だった。
(あぁ、そうか昨日一緒に…)
「やぁ、やっとお目覚めかい?」
「……起きてたの、」
「うん。何だか目が覚めてしまったからね」
「……ふぅん」
と、僕の髪をまさぐりながら、
「そういえば、昨日少しうなされてたみたいだけど?」
「…あぁ、南国果実が出てきたからじゃない?」
「南ご……アイツの事か」
「何か5日間こっちにいたら帰れるとか言ってたよ。本当かどうか分からないけどね」
「多分、それ本当の事だと思うけど?ムカつくだろうけどね」
「何で?」
「アイツ、他人の夢の中に入れるみたいだから。本人が言ってたし」
「………最悪」
と自分がそう言うと、彼は微笑して
「まぁ、よかったじゃない。あと4日こっちで過ごせばあちらに帰れるんだから…」
と、まさぐっていた僕の髪から手を離し、そう言った。何だか胸の奧がざわつく。彼は僕自身なのに、凄く他人を見ている様だ。自分はそんな風に笑えない。そんな風に優しく出来ない。他人と一緒に寝るなんて尚更―…
「……どうしたの?早く起きて着替えなよ。服はそこに置いてあるから」
自分がぼーっとしている間に、彼は起き上がり着替えていた。
「あ、後で草食動物達の所行くからそのつもりで」
「分かったよ」
彼が用意した(正しくは草壁辺りかな?)服に身を包み彼の後に着いてった。
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