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セルジオは一瞬怯んだが、すぐさま次の攻撃に移った。
その横からの剣戟をドミナントの剣が、受け止めた。
セルジオが叫ぶ。
「あんたのせいで、仲間が大勢死んだんだ!」
2機は鍔競り合いの末に、中心にて力比べに移った。
やはりパワーでは、ドミナントのが上だ。今度はドミナントが、じりじりと剣を押し込んで行く。
「あの時は被害を最小限に抑える為に仕方なかったんだ!わかってくれ!」
「分かるもんか!」
ティグレが一瞬力を抜いたかと思うと、片足を上げドミナントの腹部目掛けて蹴りを放った。
「ぐっ…あの時、撃たなければ俺達小隊もやられてた!」
「あなたは自分たちだけが助かれば、それでいいのですか!」
ティグレが剣を横に寝かせ、突き刺すように突進して来た。それをひらりと避け、袈裟落としのように剣を振り払う。
ティグレの剣が弾かれ、地面に落ちた。
「まだまだぁ!」
ティグレは丸腰のまま突進してくる。
「止めろ!セルジオ!決着はもうついたんだ!」
ロッシーニョは、剣をティグレのメインカメラ目掛けて突いた。しかし、その攻撃をティグレが、しゃがみ込みながらかわした。
「何!?」
ティグレがそのまま拳を腹部にあてがい、ドミナントにガトリングパンチを浴びせる。無数のパンチが、機体を凹ましていく。 「むぐぐぐっ!…やるな…しかし、俺もここで終わる訳にはいかないのだよ!」
ドミナントがティグレの腕を掴んだ。鋼鉄が軋む音がし、ティグレの腕が折れた。と同時に右手の剣を振り落とし、もう一方の腕を削ぎ落とした。
「……終わりだセルジオ…本当にすまなかった…」
セルジオはコクピット内で、ガックリと肩を落として呟いた。
「…やはり強いですね大尉は…。にわか仕込みの私の腕じゃ到底かなわない…。亡くなった戦友達の魂を、敬ってやって下さい…。それで私も気が済むでしょう。すいませんでした。軽はずみな言動をして……」
「毎年あの日には、慰霊碑にお参りに行ってるよ…。俺だって辛かったんだ…。お前は十分強い。もしこの機体で無かったら、負けてたのは俺かもしれん。…お前が当時M.A乗りだったら、いいパイロットになれたろうに…」
セルジオは、涙を流して言った。
「大尉……お心遣い有難うございます……」
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