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「しまった!」
「けっしてこれはルール違反じゃないぜ…鉄球は飛んでも銃器じゃないかんな」
ロッシーニョのアッチャーロが、コロッセウムの地面に突き刺さる。
「むむ…なかなかの使い手だな…。若いからと言って侮っていた…」
この世界では、30代前半でもバンビーノ扱いされるのだ。ましてや成人もしてない16才の少年など、赤子も同然なのである。
「しかし…まだ負けたわけじゃない!」
ロッシーニョは、機体を走らせた。
「あまいな…」
ティグレが腕を複雑に動かすと、鉄球と鎖がまるで生き物のように動き出す。その鉄球がドミナントを襲う。
「ぐっ…!」
次の瞬間、ドミナントの脇腹に鉄球が突き刺さった。
「如何に逃げようとも、このアッチャイオグローボからは逃れられない……えっ!?」
バッジォが驚いたのは、ドミナントが自分に当たった鉄球の鎖の付け根部分を手に持っていたからだった。
「この機体の装甲とパワーを見くびってたのが、運の尽きだったな」
ドミナントが、鎖を強く引いた。
「うわぁ~!」
ティグレが遠心力により、振り回される。
「そんな~!」
バッジォのティグレは振り回され、その場に倒されてしまった。
その隙を突き、ロッシーニョのドミナントが走り出す。
走った先には、先程奪われたアッチャーロが刺さっていた。
ドミナントはその剣を取り、持っている鎖を断ち切った。
「これでお前は手足をもぎ取られたのと同じだな…」
ロッシーニョはそのまま鉄球を地面に落として、ティグレにゆっくりと近づいて行った。
その時、ティグレのハッチが開き、バッジォが姿を現した。
バッジォはその場に土下座し言った。
「すいません!!負けました。流石は元軍人さん。歴戦の勇者にはかないません。僕も軍隊に入って修行しなおそうかと思います」
ロッシーニョは、機体をバッジォの目の前に止めハッチを開けた。
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