Episode Ⅰ 勇気の証

14/15
前へ
/76ページ
次へ
 その刃を漆黒のドミナントの剣が、受け止める。 「ふ~…」  汗を拭うロビエンコ。 「へへへっ…血が騒ぐのさ!いや…このドミナントが血を欲しがるんだ…。この俺を真っ赤な血で染めろってなぁぁ!!」  漆黒のドミナントが、剣を押し上げる。その勢いでロッシーニョの機体は、後方に弾き飛ばされた。 「何!!奴の機体のがパワーが上か!」 「こっちの機体は更に俺が改良してパワーを上げてあるのさ…。貴様の機体など…屁でもないわっ!!」 「ならば…こっちは…」  ロッシーニョの機体が、走り出す。 「ハハハハハハ!無駄無駄無駄ぁ~!!」  漆黒の機体は、真紅の機体に合わせて円を描きながら疾走する。 「へっ!?」  ロビエンコの機体に、衝撃が走った。  今まで追っていた真紅のドミナントが、自分の右脇にいた。そして、その剣が奴の右腕に突き刺さっていたのだ。 「こっちは操作性をアップさしてあるんだぜぇい!」  剣が奴の右腕を粉砕する。 「きっ…貴様ぁ~~!!」  2機が、再び間合いを取る。  追い込まれたロビエンコは、脚内に隠し込んでいた内蔵ランチャーを開きミサイルを放った。 「あ~と!これはいけませんグロッサム選手反則です!」 「ちっ!何て奴だ」  場内アナウンスが響く中、ロッシーニョの機体は左右に走りミサイルを避けるが、その内の一発が右肩に被弾、爆発した。 「くっ!」  ロッシーニョの機体を衝撃が襲う。  残りのミサイルは、狙いを反れ観客席に飛び込んだ。 「この時点でグロッサム選手の……え!?」  アナウンサ-が、ロビエンコの負けを宣言しようとした時、観客席に爆発音が轟き白煙が立ち登った。  観客席は一瞬にして、パニックに陥っていた。 「貴様……観客までも………ただで済むと思うなよ」 「あはははは!どんな事をしても勝てばいいのだよ勝てばぁぁ」 「ロビエンコーー!!」  真紅の機体が爆煙が漂うコロッセオ内をひた走る。  ロビエンコは迫り来る真紅のドミナント目掛けて、再びランチャーを放とうとしていた。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加