Episode Ⅰ 勇気の証

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 デルはゆっくりと機体に近づき、にやつきながらドミナントの脚部を撫でた。  「まあ、格納庫がないなら、この倉庫を格納庫代わりに使うがいい…。メカニックも儂が担当してやる」  「ありがとう…大佐」  デルは照れながら言った。  「大佐は止めろ…。儂も軍を隠居した身だ」  更に数週間後…コロッセウム内  ロッシーニョはドミナントのコクピットに搭乗していた。ゴーグルに僅かな光が反射する。  「この予選を勝ち上がれれば…」  ロッシーニョのドミナントは、真っ赤に塗装し直されていた。  その赤い巨体が、コロッセウムの大地を駆け巡る。  相手は、日本製のレイバー。  ロッシーニョが機体を滑走させる。  「遅い…」  ドミナントが、右手に構えた大剣を振り下ろた。  剣は、相手の左肩から脚部にかけて機体を削り上げた。  ホイッスルが、鳴り響き試合の決着がついた。  勿論、ロッシーニョが勝利し、本戦への切符を手に入れた。  試合後の控え室  「流石だな…。お前の腕は、些かも鈍っちゃいない。それどころか、乗る度に機体とシンクロして行く感がある」  ロッシーニョは、何か考え事をしていた。  「…まだまだだよ、おやっさん…。あの機体をまだフルに生かし切れてない感じがする。…だけど…奴は来るのか…」  「…黒きマンナーロ。奴は来るさ…必ずな…。それが奴の生きがいだからな…。しかし、奴を倒すのは簡単じゃないぞ。あの機体をあそこまで操れるんだからな…パイロットとしては超一流だ」  「わかってるさ…おやっさん。それでもマルコの為に、やらねばならない…」  「…奴はお前だ!昔のお前さんだよ」  ロッシーニョはデルを見た。  「おやっさん…」  彼は、昔の自分を思い出していた…。  …あれは中東の情勢が悪く、ロッシーニョがいたイタリア軍も戦場に駆り出されていた。  …ある作戦の時だった。  相手は中東ゲリラの一派。先行する歩兵隊との間で、銃撃戦が行われていた。  民兵は伏兵作戦として、軍服を身に纏っており、敵も味方もわからない状態であった。  味方は軍服を身に付けたゲリラ軍を、味方だと思い近づいた所を銃撃されたのだ。  後詰めに到着したロッシーニョ率いるM.A小隊は、どちらが敵か味方か把握できない状態にあった。
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