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待機所に戻るロッシーニョ。目の前からデルが、やってくる。ロッシーニョはハッチを開け、ゴーグルを外した。
「ふ~奴と当たるまでは、ちと骨が折れそうだ…」
「決勝に出てくる連中は、それなりに激戦を勝ち抜いて来た者達だから、少しは手応えがあるだろう?機体を少しやられたな…後で見てやる。次の試合までは、時間があるからな」
奥の方からM.Aの足音が、聞こえてくる。どうやら次の出場者のようだ。
暗がりの中からそいつが現れた。
奴だ!
漆黒のドミナントは、異様な威圧感を発し横を通り過ぎて行った。
ロッシーニョとデルは、静かにその様子を見守っていた。
漆黒のドミナントコクピット内…
「ドミナントか…。俺の機体の他に、まだ存在していたとはな…。とりあえずは要注意だな、あの機体は…」
ロッシーニョは、漆黒の機体を睨みつけていた。
「ロビエンコ…」
第一回戦が終わり、勝ち上がった選手達が、二回戦に進む。
ロッシーニョの出場試合、第2回戦が行われようとしていた。
2回戦の相手は、イタリア製ティグレ。あの弟が乗っていた機体と一緒だ。イタリアグラディエイターの間では、人気の機体で大半のグラディエイターがこの機体を駆る。
出場前にデルが言った。
「まあ傷は、大した事ない。折れた剣先は、取り除いておいたが、特に戦闘において支障はないだろう。奴も勝ち上がったようだぞ…。でも、まだ奴はカリ(殺し)をしてない…。次のターゲットは、お前かもしれんな…。ロジー気を付けるんだぞ!」
「わかってら、おやっさん…。マルコと同じ名を持つ俺は、奴に取って絶好の標的だろうな…。強さを示すのは、人を殺める事じゃなって事を、俺が教えてやる」
「お前の意気込みもわかるが、後2回、しくじるなよ…」
「おやっさん…ありがとう…」
ロッシーニョはハッチを閉め、走り出した。
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