Episode Ⅰ 勇気の証

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 「さあ!第二回戦始まりました。新星ロッシーニョ・レヴェナントに対しまして、シチリアのファンタジスタの異名を持つセルジオ・スパグノーラ~!彼は現在ローマに在住。満を持して、このローマ大会に参戦。シチリア島時代は、数多くの技を使い観衆を魅了して来ました~。片やレヴェナント選手は、ついこの前の第7回コッルターレコングレッソ全国大会で運悪く事故にあったマルコ・レヴェナント選手の兄。今回は弟の無念を晴らしに来たのか~!………」  「セルジオ…スパグノーラ……!?思い出したぞ!奴か…。どこかで聞いた名だと思ってた」  ロッシーニョは、その名前に聞き覚えがあった。  2機が双方睨み合うように、コロッセウムの中央に立つ。  ロッシーニョが、唐突に無線を入れた。  「おやっさん!相手の無線の周波数はわかるか?」  「ああ、わからんでもないが…。試合中は、相手方と話すのは禁止になってるぞ」  「わかってる…でも教えてくれ」  「分かった…少し待ってろ…」  そして、試合開始のホイッスルが鳴った。  2機のM.Aが、走り出した。双方円を描きながら、相手の出方を見る。  仕掛けたのは、ティグレだった。  奴はジグザグに走りながら、ドミナントに接近。  ロッシーニョは、距離を保とうと必死に逃げるが、奴の複雑な動きが読み取れない。  奴の剣が、左脇を擦った。  ドミナントは走りながら、ティグレの左側から剣を振り下ろした。ロッシーニョは、同時にティグレに対して、無線を入れた。  「…お前もしかして…」  「その声はやはり大尉……」  ティグレはその攻撃をひらりとかわした後、ドミナントとの距離を取った。  「久しぶりですね…大尉……よもやグラディエイターになっていたとは…」  2機の間に、再び緊張が走る。  剣を両手で構える2機。  「ここで会ったのも何かの縁ですね…。敵は取らせてもらいます!」  ティグレが走り出すと、ドミナントが防御体勢に入って、剣を構えた。  ティグレの剣が頭上から振り落とされると、それをドミナントの剣が受け止める。  徐々に、体重をかけていくティグレの剣に、じりじりと押されていく。  「待ってくれ!セルジオ!あの時は仕方無かったんだ」  ドミナントがパワーに任せ、ティグレを弾き飛ばした。
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