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「キャロは僕が心配だから君を連れて行けって言っていたけど、逆に君まで来ちゃたらキャロの方が心配だよ」
そう鞄から顔を見せる白竜に呟き、エリオはため息を吐き、俯く。
「キュル?」
俯いたエリオの顔をフリードが心配そうに覗き込む。
しかし、すぐにエリオの視線から居なくなり、違う方を見ていた。
エリオも後を追うようにフリードが向いている方を見る。
そこには一人の少女が居た。
いや、少女だけなら家族旅行などのためか空港内にたくさん居る。
しかし、その少女は明らかに周囲から浮いていた。
その理由としては服装が大きな要因だろう。
少女は薄汚れたローブを纏っており、顔はどこかやつれたように見える。
エリオが呆然と少女を眺めていると突然、少女が倒れた。
「っ!!大丈夫ですか?」
急な出来事に戸惑いつつも、少女を抱き起こし意識があるか確かめる。
「・・・て・・・げて」
少女が何かを言っているが掠れていて聞き取れない。
「・・・逃げて。アイツが、来る」
エリオが少女の言葉を聞き取った瞬間、辺りが緋色に包まれた。
「こ、これは・・・」
刹那としか言い表せない時間。
その間に空港は緋色の業火に焼かれ、人々の悲鳴が充満する地獄とかしていた。
一瞬、戸惑いはしたもののエリオの頭に管理局の魔導士としてやらなければならないことが浮かんでくる。
「とにかく、この子を安全な場所に避難させて。他の人を助けないと」
辺りを包んだ炎の所為か、少女は気を失っている。
エリオが少女を抱きかかえ、出口に向かおうとした瞬間、エリオの前を焔の刃が縦に切り裂いた。
焔の刃の当った床からは焔の壁が生まれ、通れなくなってしまった。
「ストラーダ!!」
誰か、もしくは何かが居ると核心して腕時計の姿をしていた自分のデバイスに言う。
デバイスからの返答があり、腕時計の形をしていたストラーダは青い槍に代わり、エリオの着ていた管理局の制服も赤い内服と白いコートの姿をしたバリアジャケットへと変わる。
エリオの戦闘体制が整ったところで炎の向こうで何かが動く。
そして、自らが生み出した炎を薙いで現れたのは紅色の鎧であった。
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