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炎に包まれた円状のステージ、その真ん中で紅の鎧と対峙したエリオは思案していた。
辺りは炎の緋色に染まっている。
普通の人間ならば生命活動は難しいものだろう。
エリオが平然としてられるのも自らが張った魔導障壁があるからだ。
しかし、エリオの後ろで倒れている少女は違う。
長くは持たないだろう。
(キャロが居れば僕が時間を稼いでいる間にあの子を外に避難してもらうことが出来るのに)
残念ながら、彼をいつもサポートしていてくれた少女はここには居ない。
ゆえにエリオは一人でこの状況を切り抜けなければならない。
方法としては二つだろう。
一つは正面の紅の鎧を短時間で撃墜して少女を救出する方法。
もう一つは紅の鎧と戦闘中に隙を見て少女と共にこの場から逃げる方法。
しかし、エリオは自らの頭に浮かんだ案を却下した。
エリオには分かるのだ、過去に本物の強者と任務に当っていたゆえに。
目の前の敵は彼女らと同等の強さを持っていることが。
撃墜できる可能性も低い、それで隙をつけるわけも無い。
ならば、あるのは第三の手段。
この火災によってここに来た応援部隊が来るまで耐え忍ぶことだ。
そう決意し、エリオはストラーダを握る手を強め、対峙する敵に言い放つ。
「来い!」
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