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「これは……」
そう呟いたのは一人の少女だった。
藍色の髪をしたその少女には空港火災というものに思い入れがあった。
己が生命の危機に陥り、そして今の職業に着くきっかけにもなった人物との出会い。
それは悲しいことでもあり、喜ばしい出来事であった。
「スバル!」
少女―スバル・ナカジマがそうして、考え込んでいると不意に声を掛けられた。
振り返るとそこにはスバルと正反対の赤い髪の少女の姿がある。
「どうしたの、ノーヴェ?」
自らの妹でもあるノーヴェにそう問いかけると、ノーヴェにしては珍しい不安そうな表情で返答する。
「いや、なんか。ここは嫌な感じがするんだ。魔力の流れが明らかにおかしい」
それはスバルも感じていることだった。
通常火災にしては以上な魔力反応。
そして、必死の消火活動も虚しく燃え続ける焔。
明らかに異常だった。
「私も感じていた。この火災を長引かせるのは危険だね」
いつもと違い、真剣な面持ちの姉の言葉にノーヴェは無言で頷いた。
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