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「ああ。まあ、1~2時間の行列覚悟で行ったら、そんなに混んでいなかったけどな」
ヴィータの苦笑いをしながらの発言を聞き、シグナムに疑問が浮かぶ。
「ということは、遅くなったのはそれが理由ではないのか?」
「ん?いや、実際、30分は並んだがな。まあ、あとjは合同演習の際の引継ぎやらなんやらで仕事場を出たのも遅かったんだ」
シグナムはなるほどと頷く。
シグナム自身もそれが理由で職場である航空隊第14部隊隊舎を出たのも予定よりも遅れていたのだ。
「確か、合同演習って、あの第23管理世界でやる・・・」
「そう、4年に一回の時空管理局内の全部隊を一箇所に集めた模擬戦だ」
時空管理局は4年間に一度、一つの管理世界に所属などを関係なしに全部隊を召集、超大規模な模擬戦などを行いうのだ。
つまり、この日はもっとも管理局による警備が手薄になる日なのだ。
「まあ、手塩を掛けて育てた魔導士の実力を披露する、うちら戦技教導隊にも関係ない話じゃねえって訳だ」
戦技教導隊は管理局本局に本部をもっており、装備や戦闘技術のテストや研究、演習での仮想敵役や技能訓練などが主な仕事だ。
ヴィータは以前は本局の航空隊に所属していたが、もともと戦技教官の資格を持っていたことやとある知り合いが教導隊に居たことから、今は戦技教導隊に属していた。
「なるほど、そちらも大変なのだな。こちらの隊も殆どの隊員が出払ってしまう上に副隊長である私が非番だ。皆には迷惑を掛けてしまっているな」
「仕方ねえだろ、いきなり演習の日時変更だなんてさ。まあ、シグナムと私がここに居られるのはシグナムの人望の証かな」
シグナムの補佐として同じ第14航空隊に所属しているアギトが誇らしげに語る。
彼女の言う通り、今回の合同演習は2週間ほど前に開催地と開始日時を変更となった。
開催予定地であった第5管理世界―《フナリエ》から第23管理世界―《ヴァルキス》へと。
その理由はこの場にいる全員は知らなかった。
2週間前、《フナリエ》で何が起きたのかを・・・
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