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臨海第7空港にロビー近くのベンチで通信をしている青年がいた。
「はい、今、空港に着きました」
〔そう、分かった。じゃあ、今から向かえに行くね。キャロはやっぱりこれなかったの?〕
青年の前にある画面には金髪の女性が移し出されている。
「はい、熱が下がらなくて。ぼくだけでも行ってこいって」
青年―エリオ・モンディアルは女性の問い少し寂しげに答えた。
一方、女性―フェイト・H・ハラウオンも何処と無く寂しそうだ。
エリオと話に出てきたキャロ・ル・ルシエという少女はフェイトの子供だ。
しかし、血が繋がっている訳ではない。
あくまでフェイトは保護観察官という立場だ。
まあ、彼らはそんな現実は家計なく本当の親子のような関係を築いていた。
今は離れて暮らしているのだが、フェイトとエリオとキャロの非番が合う日はこうしてミッドチルダへ会いに来ているのだ。
しかし、今日はキャロが風邪を引いてしまい、エリオ一人でミッドチルダまで来たのだ。
〔それじゃあ、しょうがないね。じゃあ、今すぐ向かえに行くから〕
「はい。ロビーで待っています」
エリオは通信を切り、ベンチに深く腰掛、ため息を吐く。
エリオ自身、キャロがこれないようなら諦めるつもりだった。
しかし、キャロがどうしても自分に行って欲しいと懇願されたのでこの場に居るのだ。
「はあ~、キャロ、大丈夫かなあ?」
エリオは隣に置いた大きめの鞄に問いかける。
すると、鞄の隙間から白い生物が顔を出した。
その生物はドラゴンで名をフリードリヒという。
フリードは召喚士であるキャロの使役竜で今ではエリオにもかなり懐いている。
エリオが一人では心配なためキャロが連れて行くように言ったのだ。
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