輝きの詩～冷めた現実の慟哭～

開幕～不在の間に～

彼は必ず戻ってくると言っていた。

もちろんその約束が嘘だとは思わない。だって彼はいつも私のことばっかり気にかけてくれていたから。

自分のことなんかどうでもいいみたいに。
『リリィ、絶対帰って来るから。待っていて』

彼、リザイルの言った言葉を思い出して彼女はため息をついた。

「ばか。もう半年近くも経ってるよ……」
ここはランスロット邸、リリィの私室。

彼女はベットの上でうつ伏せている。
「すぐ、帰るって言ったのに」

彼が約束通りの期間に戻らなく、ディランが送った応援が駆けつけた時には魔剣だけが地面に深く突き立てられていただけだったそうだ。

今、リザイルの魔剣【ジェイド=ラーク】は彼女が大切に持っている。

特製の鞘に入れられた魔剣をそっと抱きしめ、涙を流す。
「もぅ………私を一人置いていかないでよ、リザ君」

カーテンの間から覗く月を見上げて呟いた。