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青い空に浮かぶ島。
その周りには小惑星ほどの粒がゆっくりと衛星していてる、よく見るとそれは古くなった船の部品などジャンク品である。
「いやほぉおおう!!」
スラム街仮設テントの上をもの凄いスピードで飛行する薄い板のような物体に少年は乗っていた。
いや、その物体は少年にくっついている。
赤黄色い短い髪をなびかせて少年は羽を広げている、銀に輝く機械の羽を。
少年を見上げる仮設テントの人たちは手を少年に向けて何かを叫んでいる。
が、風音が大きく、少年には聞こえないようで、少年は目を閉じてしまった。
目の前にある仮設住民が洗濯物を干すために張り巡らせた紐が待ちかまえているのに目を閉じたままつっこんだ。
だが、紐に触れる間際に羽は閉じられすらりと後ろに伸びた。
無事に紐を通り抜けると少年は目を開けてそれを確認し、また奇声を上げた。
後ろからはサイレンの音が聞こえてきていたが、大人しく捕まってあげたりする必要も義務もない。
少年はさらに板の翼を広げると加速して大空へと舞い上がる。
遙か彼方の水平線に思いを馳せている少年。
これはそんな少年の話である。
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