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「兄さん、きっと世界は広いんだ。ここに居続けも何もわからないままだ」
「おまえはそう言ってあの男の後を追うんだろう」
僕は気がついていた。
兄は父が未だに好きなんだ。
兄にとって大事なのは『幸せな家族の形』なんだろうな。
「追うわけじゃないよ。僕は僕の目で世界を見るために、父さんの道を利用するだけだよ」
「それを追うって言うんだよ」
シルリは苛立ちを露わにし始めた。
「兄さん……もしかして、兄さんが一番ここからでたいんじゃないの?」
シルリは少したじろいだ。
「そ、そんなわけあるか、俺はこの家を.........家族を守らなきゃいけないんだ」
「そう、だから僕も兄さんに守られなきゃならないの?」
「そんなことー」
「そんなことあるでしょ、兄さんはここで家族を守る、僕や母さんを。なら必然的に僕らは守られなきゃならないんだよね」
「……」
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