【最後の発明】

2/4
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
ある時代の世紀末 街は、新世紀の到来を今か今かとドンチャン騒ぎ。 3・2・1・・・・ さて、とある偉大な学者が、ある発明をいたしました。 最先端の科学を集結して作られて、ノーベル賞ものといっても過言ではございません。 そして、その発明は、新しい時代の幕開けである、年明けに全世界に向けて生中継される予定でございました。 「明けましておめでとうございます。」新年を祝う気持ちは、今も昔も変わりません。 「さて、新しい時代の幕開けにふさわしい発明を皆様にご覧に入れましょう。」 ひとりの学者が、輝くスポットライトに照らされ、ステージに現れました。 「人類は、今まで様々なものを作り上げてきました。ものといっても、物質的なものに限りません。ある時は、宗教によって、教えや法がつくられ、社会の秩序が構成されてきました。また、その時を生きた人々は、それが絶対的なものであると信じてきたのです。そして、現在我々には、科学という素晴らしいものがあるのです・・・・・・」 今日の社会において、科学は絶対的なものであったのでございます。そして、完全に機械化、合理化された社会が、作り上げられていたのでございます。かつては、反対するものもおりましたが、今そんなことをすれば、つまはじきにされるでしょう。 学者の話が終わると、ステージの端から、なんともいえない脚線美を持つ小さな機械が出てきました。 「こちらは、世界最高峰を誇る、我が研究所において完成したものです。名づけるなら、「ダイアログ」でしょう、対話といっても電話などではございません。ここに、一人の女性を呼んでみることとします。マーシャ、マーシャ・・・」 「何なの?ダーリン」冷たい声が、スピーカーを通して鳴り響きます。 「・・・え、こちらは、私の妻である、マーシャでございまして、彼女は三年ほど前でしょうか、死んでしまったのであります。」 これを聞きますと、会場いや、世界中が、ざわついたのでございます。そして、この学者を疑ったでしょう。 「お静かに!では、私が自ら証明いたしましょう。」 そういうと、学者は、小袋にいれられた粉状のものを飲み、床にバタリとたおれたのでございます。 またも、会場は、ざわつきます。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!