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雨が降っていた。
かつて新宿といわれた地区はすっかり無人となってしまっている。
黒い金属でできたビルはどれも300メートルを超す巨大さで、空を覆っている。
マコトは慎重にビルの合間を縫うように、ゆっくりと進んでいた。
一見するとただのスーツ姿のサラリーマンにも見える。しかし拳銃を構えている姿は異様だった。
慎重に、慎重に――
(通報のあったミュータントは3体。慎重にいけばやれる)
マコトは思った。
ゴアテックス生地のスーツは雨を弾き、シャツの上から着込んだ薄型のアーマーは銃弾も、ミュータントの爪も通さない。
構えた銃以外にも鋭利なナイフを2本、別の拳銃をもう1つ持っている。ミスさえしなければ狩れるはずだ。
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