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ギリシアにはデルフィという聖地がありました。ここでは神様からのご信託、ありがたいお言葉が聞けるわけです。
その大理石の神殿の中、一人の屈強な男が巫女の前にひざまづいています。
筋骨隆々のその男、名をレオニダスと言い、スパルタという国の王でした。
巫女は虚ろな目で、レオニダスに向かってこう言い放ちました。
「王が死ぬか、国が滅びるか」
しばらくの間の後、レオニダスは静かに一礼し、神殿を出ます。待っているのは何千人にも及ぶ兵士たちです。
彼はデルフィの山々を震わすほどの大音声で言いました。勇敢なる兵士諸君!君たちに伝えることがある!
「私の親衛隊以外は国に帰れ」
兵士たちに動揺が走ります。どういうことかと、あの大軍にたった300人だけで挑むつもりか、と。
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