星のカケラ

０ プロローグ

その日は、深夜にも関わらず熱気が身体中にまとわり付くような、まさに熱帯夜と言える夜だった。

そんな夏の夜、暗闇と静寂に支配された街の中央にある小高い丘の上の公園では、異様なほど空気が澱んでいた。

五十台を越える単車がズラリと並んで円を描き、煌々とライトの光を放って円の中心を照射しているのだ。

普段、爆音を轟かせて迷惑極まりない違法改造車両の群れはその鳴りを潜め、自らを駆る派手な出で立ちの騎乗者と共に、ライトの光が交差する円の中心をひっそりと見つめている。

その騎乗者たちとは、この近辺で最大最強と謳われるレディースの連合組織、所謂少女たちで結成された暴走族だった。