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旅立ち
韓国へ行ったら、日本に帰えるつもりが無かった俺は、中目黒のマンションを引き払い荷物は友人たちの家に分散して預かって貰っていたため、韓国に行く日まで友人の家を転々としていた。
その日は港南台の所属事務所から大船駅まで社長に車で送って頂き、社長に挨拶をして別れた。
ホームに着いて、
成田エクスプレスが来るまで、15分早く着いていたので、ホーム中央付近で曲を聴きながら脚でリズムをとりギターを弾くマネをしていた。
俺の得意なポーズである。
「ん?」
時間になっても成田エクスプレスが来ない…、
"嫌な予感"
駅員に「成田エクスプレスが来ないのですが、
遅れてますか?」と、
他人事のように聞いた。
「今、でましたよ。」⁉
ホームを出発した、
成田エクスプレス号が小さくなって行くではないか…ぼう然。
「なんで?僕はここにずっといましたよ!」
駅員は、「ホーム先に成田エクスプレスはずっと止まっていましたよ。」
気にはなっていたが、
成田エクスプレスは俺の前に滑り込んでくると思い込んでいたし、
車両が短く感じられまさか、ホームの先に止まっているとは思いも寄らなかったのだ。
俺は、浮き輪から空気が抜けるようなため息が出た。
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