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土『チッ。…見終えちまったか』
優「え?」
土『な…何でもねぇ』
土方くんが何か呟いたみたいだけど、声が小さくて聞こえなかった。
土『ど…どうする?帰るか?』
優「うーん…そうだねぇ。帰ろうか」
屋台も見終えたし、このまま帰るのが普通だろう。
土『判った。じゃあ、送ってく』
優「え…あ…いや」
私の言葉を聞かずに、土方くんはスタスタと歩き出した。
……手を繋いだまま。
優「ひ…土方くん?」
土『何だ?』
立ち止まる気配もなく、目だけをコッチに向けた。
何か…機嫌が悪そう。
優「手…離しても大丈夫だよ?」
繋いだまま歩いてるもんだから、行き交う人達の視線が痛い。
土『俺は構わねぇが…お前が嫌なら離す』
そう言いながら、繋いだ手の力が強くなった。
土方くんが良いなら…良いか。
私は黙って、土方くんの後についていく事にした。
土『……お前ん家って、どこだ?』
そうだよ!!
土方くんが知るはず無いよね。
家までの道程を、私が一歩先を行く形で歩いていった。
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