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ー土方ー
メニューを見て、頼む物が決まったと同時に誰かが近くに来た。
視線をメニューから上に上げると、顔を真っ赤にしたメイド服の土方くんがぎこちない喋り方で
土『い…いいいいいいらっしゃいま…せ。ご…ご注文は…お決まり…ですか?』
と、聞いてきた。
いつもの土方くんからは想像出来ない姿に、笑いが込み上げてくる。
優「わ…私は、メロンソーダで。…また子は?」
笑いを必死に堪えながら、また子を見ると私と同じらしく、小刻みに肩を震わせていた。
ま『ゆ…優姫と同じので良いっス』
土『め…メロンソーダが…お二つ…ですね?で…では、少々お…おおおおお待ちください』
注文をとって後ろを振り向いた土方くんを、私は呼び止めた。
優「土方くん。さっきまで普通だったのに、どうしたの?深呼吸だよ。深呼吸」
私の言葉に、土方くんがゆっくりと深呼吸する。
土『……上目遣いなんて…反則だろ…』
優「え?何か言った?」
土『な…何でもねェ!!』
そう言い残すと、小走りで奥に引っ込んだ。
ま『…無意識って、罪っスねェ』
優「何が?」
ま『何でもないっス』
土方くんが何を言ったのか、また子の言葉の意味が何なのか判らなかった。
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