223人が本棚に入れています
本棚に追加
/181ページ
予感
ああ、勇助、私達はきっと離れるべきではなかったのね。
だって、私達は二人で一つ。
この血肉も、魂も、二人で分かちあっていたのに。
──何故(なにゆえ)分かれてしまったのか。
──何故(なにゆえ)一つにはなれなかったのか。
ああ、勇助、きっとこれは、この世に生を受けた時から始まっていたのね。
私達が光を見出した時から。
いえ、その前から?
母の羊水に浮かびあがる前、分裂した時から?
だって、私達は二人で一つ。
ああ、勇助、私はあの時、個体として見られたかったの。
愚かな選択は、この手の隙間から見える世界を180度、変えてしまった。
そう、こうなる事を予感したの……。
ああ、勇助……。
最初のコメントを投稿しよう!