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ーーー秋。
バルテウス王都リーゲンハルト郊外。
世界でも有数の名門とされるトライセルアカデミーでは新学期が始まった。
小さな町程ある広大な敷地と豊かな自然の中に建てられたそこは、歴史ある石造りの校舎で趣を感じさせる。
東塔の古鐘が鳴れば、静かだった廊下や中庭は生徒達の賑わいで溢れていったーー。
「はぁ、調合間違えてファロンに10枚も課題出されたよ。最悪」
「聞いた?第三寮のトイレがまた壊れたらしい」
「次実技じゃん!攻撃魔法の試験内容確認しなきゃーー」
「ニルヴァーナの法則のところ今度テストするって。あんなの分かる奴いるのか?」
ここでは制服がない為皆それぞれ個性的な装いだ。
彼らの話の内容はクラス分けやカリキュラム、単位の事など学生特有のものから年頃の少年少女らしい色恋話まで様々である。
しかしそんな中、裏庭からは由緒ある名門校に似つかわしくない暴力的な音が響いていた。
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