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反乱軍本部エルトロードから馬を飛ばし一日が経過した。
夜通しで走らせていたわけではないので、時間はかかったが、帝たちは剣神軍の軍勢を肉眼で捉える位置まで辿り着いた。
帝たちがいるのは岩壁の遥か上。
そして、剣神軍がいるのは岩壁の下に広がる大荒野。
見渡す限り岩しかない大荒野に、約五千の軍勢が集まっている。
速くはないが、足並みは確実に神帝に向かっている。
反面神帝側はたったの三人だ。
七天第五席『剣聖』の紫堂帝。
七天第三席『戦鬼』の絶影。
『仙人』のセキ・アンドフォード。
人数こそ三人だが、この三人がいるだけで戦力は数万以上に匹敵するだろう。
「あの中に剣神が…」
帝は岩壁から剣神軍勢を見下ろしながら呟いた。
「剣神は当然じゃが、それ以外の戦力も気になるところじゃな」
同じく横に馬を構えているセキが眉を寄せて呟いた。
気を付けるべきは剣神だけではない。
剣神に鍛え上げられた軍隊なのだ。
一般の兵士といえ気を抜ける相手ではないかもしれない。
「何にせよ、奴らはここで止めるしかねぇな。
あまり近付かれると聖たちも動きにくいだろうしな」
絶影が敵陣を睨みつけて言う。
「そうだな。聖様の援護と、俺をこの場に選んでくれた期待に応えるためにも、奴らはここで止めるしかねぇ」
帝は強く言う。
そして。
「行くぞ!」
剣聖、帝は叫び馬を走らせる。
それに続くように絶影とセキも続いた。
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