衝突―神帝と剣神―

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帝たちは途中で馬を降り目の前の軍勢に目を向ける。 「悪いが剣神はやらせてもらうぜ」 帝は腰に差した日本の刀の内一本に手をかけて呟く。 「分かってるよ。俺たちは他の兵士をやろう」 「負けるでないぞ」 絶影とセキはそれぞれ言葉を残し、左右に散った。 そして、目の前には赤い髪に赤い瞳を光らせている男が馬に乗ったまま向かってくる。 「この時を待っていたぜ」 ギラリと銀色の光を放つ刀を鞘から抜きとる。 目の前に帝を捉えた剣神シルバは小さく舌打ちし、走る馬からバッと降りる。 そして、前触れなく縮地で一気に帝の前に現れる。 キィン!! 帝とシルバ。 剣聖と剣神の刀が戦場で交わった。 キリキリと刀の交わる音が小さく鳴く。 「剣神シルバ・グレイバート!!お前と戦えるこの時を待っていた!!」 「七天第五席、剣聖の紫堂帝か。貴様などを相手にしている暇はないのだがな」 「お前になくとも、俺にはあるんでな!!」 キィィン!! 腕力のままに、刀で相手を弾き飛ばす帝。 そして、思い切り踏ん張った足で地面を蹴る。 鋭い縮地により姿を消す帝。 弾き飛ばされたシルバが地に足を付けた時には、目の前に帝の姿があった。 「はぁ!」 帝の横に払った刀を、シルバは難なく止める。 ドォン!! あまりの速度の攻撃に、風が後からついてくる。 帝が払った方向に風が流れる。 しかし、そんな攻撃をシルバは無表情で受け止める。 「先を急ぐ。悪いがすぐに終わらせてもらうぞ」 「こっちも神帝の守護者として来てるんでねぇ!聖様には手を出させねぇぜ!!」 帝はもう一度縮地で姿を消す。
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