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今度は、一瞬でシルバの背後に回り込む。
そして、移動した速度に乗ったまま刀を再び横に払う。
だが。
キィン!!
シルバは振り返らず刀を後ろに持ち、帝の斬撃を受け止める。
「なっ!」
声を上げる帝。
完全に背後を取った。
それが完全に受け止められた。
反射神経や運動能力という次元ではない。
ここまで完璧に止めるということは、動きを先読みされていたとしか思えない。
一流の実力者ならば、拳や武器を交えるだけで相手の考えを読めるという。
無論、聖や帝たちにも当てはまる。
その読みは、強ければ強い程相手を読む。
つまり、この場合。
読まれた帝と、読んだシルバ。
それだけ取れば実力差の順列がつけられる。
シルバは完全に帝を読み切った。
それはシルバが帝の上にいるという証。
「くそっ!」
帝は大きく後退する。
そして、着地した瞬間縮地で再び突っ込む。
目の前に現れ、すぐに縮地。
シルバの周りを縮地の連続で移動し続ける。
あまりの速度に帝の残像が何人も残っている程だ。
そして。
「はぁ!」
途中で地面を蹴り、再びシルバの背後に現れる。
だが。
「無駄だ」
シルバの背後に回っていたはずの帝。
しかし、声は自分の背後から聞こえる。
帝が目を見開いて振りかえった時には。
ザシュ!
肉を裂く鈍い音が帝の背中に響く。
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