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「剣聖、紫堂帝!!」
馬に乗ると声を上げるシルバ。
倒れている帝は、動かない体を首だけ動かしてシルバを睨む。
「貴様はまだまだ伸びる。この争いが終わったらまた相手をしてやる。
いつでもかかってくるが良い」
「剣神…っ、シルバぁぁぁぁ!!!」
倒れたまま叫ぶ帝。
しかし、シルバはそれに答えず馬を走らせた。
「帝っ!」
と、倒れている帝の前に現れたのはセキだった。
「無事、ではないな。動けぬのか?」
「…くっそぉ…」
セキの言葉に応えず、倒れたまま拳を握りしめる帝。
勝てると思っていた。
少なくとも、こんな圧倒的に負けるとは微塵も思っていなかった。
だが結果はどうだ。
相手に傷一つつけることも出来ず、あげく逃がしてしまった。
完全すぎる敗北。
綺麗すぎる敗北。
言い訳も出来ない程の結果だった。
「くっそぉぉぉぉぉぉぉ」
出せる限りの叫び声が、敗北した戦場に響き渡った。
そして、帝たちが剣神軍と争っていた頃。
反乱軍本部エルトロードに一人の男が姿を現していた―――。
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