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「消えた?」
周囲を見渡して呟くアテナ。
第二魔法使いでもないのに、この一瞬で姿を消す。
それだけ取ってもエルヴィスが普通でないことは明白だ。
「天界の四神ですか…。強大な敵ですね」
四枚の白い羽を、魔力によって白い粒子にして消したヴァンが呟く。
「星の力を操る神…。人の域を完全に超えてるな」
空中に浮かんでいた黒い魔力を帯びたアトラスが地上に降り立って呟いた。
それと同時に、黒い魔力と黒い四枚の翼を粒子にしてかき消した。
そして、黙っている聖に一同が目を向けた。
「聖?」
アテナが心配そうに聖に歩み寄って呟いた。
「全く力が通用しなかった…」
「聖…」
小さく呟く聖。
「神聖術なら閃に勝てると思っていた…。
けど結果はどうだ?
閃に負けた神と呼ばれる存在には傷一つ負わせられなかった…。
どれだけ力を手に入れても、あの男には届かないのか…」
聖は俯いたまま顔を上げられなかった。
魔王守護者ジェインに負け、三聖の神崩し、利桜に負けた聖。
もう誰にも負けず、誰も失わないようにと得た神聖術。
しかし、その力は天界の神に全く通用しなかった。
だが、聖は顔を上げて。
「奴らに勝つには、奴らと同じ舞台に上がるしかない」
「聖?何を考えているのです?」
聖の言葉を理解出来なかったヴァンが眉を寄せる。
そして。
「天界へ行く」
その言葉に、一同は目を見開いた。
「馬鹿な!天界など、そもそも我らの常識にあるものではありません!!
仮に存在するとしても行き方など」
「分かりますよ」
ヴァンの言葉に応えたのはアテナだった。
聖も含め、一同がアテナに目を向ける。
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