第一節 始まり

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 筋骨が隆々とした真っ黒な肉体、目はギラギラとした金色、口には尖った牙。外側は紫色、内側は深紅に染まった翼を持ち、昔は守護者として人間を守っていたとされる中級の魔物―ガーゴイルが、二人を嘲笑するかのように、翼を羽ばたかせていた。  人間の守護者であった名残だろうか、その両腕は鎖により繋がれている。  ガーゴイルの目は二人を逃がさないかのように大きく開かれ、鎖を引きちぎらんばかりに拳は固く握られていた。 「―コドモ……ウマソウナニオイノ……ニンゲンノコドモダァァ!! 」  興奮した様子で、ガーゴイルは叫ぶ。  その叫び声だけで、周りを飛んでいたストル達は縮み上がり、中には気絶して地面に落ちていく者もいた。  ガーゴイルの体長は2mほどでストルよりも小さいが、その場に誰よりも強者であることは、誰の目にも明らかだった。
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