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警報がなり、さらには魔物が街に侵入してきている今の状況で一般人が外に居るのは普通に考えておかしい。可能性はない。
また、相手の話し方からして一般人を救助する戦闘員という可能性も低い。そしてなにより、前方の者の放つ尋常ではない威圧感をクリアは感じ取った。
危機を感じた瞬間、残っている魔力を全て出し切り、自分が現在使える最高の技を前方の者に繰り出した。
長さ8m、太さ1mともなる暴風の槍が前方に居る者に向かっていく。槍は通った場所をことごとく吹き飛ばし、切り刻みながら轟音を立て進んでいく。
「 そうか。では、クリア。死ぬか、畜生の如き様で逃げ去るか選べ。逃げ切ることが出来れば、死なずにいられるかもしれないぞ 」
前方の者が喋り終わると同時に、その身体に巨大な風の槍が直撃し、その周囲が吹き飛ぶ。瓦礫や砂が舞い、視界が悪くなる。
「さぁ……選べ」
「……っ……!?」
確かな手応えを感じたはずが、視界の悪いなか目を凝らすと、そこには先ほど全く変わらない姿勢、位置で立っていてるように見える。
それどころか、20m程先にいるにも関わらず、前方の者は威圧感だけクリアを押し潰そうとしていた。耐えきれず、膝が地面につき、顔も自然の下を向いた。
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