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街に入る為には南に一つ、南東に一つある門を通る必要がある。青年達は今いる所に近い、南の門から街へと入って行った。
門には門衛がいるが、魔物対策のためであり、人間は難なく入ることができる。
「わぁ!外から見るより、もっと賑やかだね~」
今がお昼を過ぎた頃という事もあるのか、子ども達が駆け回ったり、女性達が談笑していたり、男性達が我が子を肩車したりと、平和な明るさが見て取れた。
街民の顔は血色がよく、幸せに溢れており、街の豊かさが分かる。
「そういえば、今日はアルの第一節マナ(※)かぁ。この街はマナとアウラが休日なんだよ」
懐かしいなぁ。と少年は呟く。
「珍しいね~、その二つが休みの日なんてさ。うん、平和っていいね……」
ニコニコしながら話す女性。平和な街の風景が嬉しいらしい。しかし、その顔に若干の影が垣間見える。
「あぁ、この街は少し変わってるからな。……ほら、話してないで行くぞ」
「あっ、待ってよー!」
彼女の何とも言えぬ表情を見ると青い髪の青年は少し早足で行ってしまった。金髪を揺らしながら女性は追い掛ける。
※アルは一年を12の月に分けた時の4番目、一節7日がひと月4ー5節ある。マナは節のうち一番目の日を、アウラは7番目の日を指す。
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