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抱きつかれままで歩いてるせいなのか、街人の一部から冷ややか(恐らく妬み)な視線を向けられながら街を進んで行く少年、こういう視線にはもう慣れてしまっている。
少年自身、整った顔をしているのだがその顔にはまだ幼さが残る。一緒にいる大人の女性とは釣り合わない、と自分を棚に上げて思っているのだろう。
羨望、嫉妬、怒り等など、街の男性達から色々な視線を少年は受けつつ、遂に五大貴族の屋敷門扉に辿り着いた。
「貴様何者だ!名と用件を言え!」
そのまま入ろうとした所、門番によって阻止された。門番からしてみれば、見知らぬ人間が入ってきたのだから、当然の対応だ。
ここは、この中央都市ミストラルを仕切っている五大貴族の中の一つの屋敷。余程の用件がない限り、通常は前もってのアポがないのに入ることは出来ない。街に入るとはわけが違うのだ。
「……そっか、そういえば、俺は行方不明者なんだよな」
少年はボソボソと呟く。
「早く答えろ!」
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