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「まぁまぁ、そんな事はクリアが無事ならどうでもいいですよ。命がある事が何よりも大事なのですから」
ガルスの言葉をそんな事と一蹴してみせる。流石だ。
「いや、どうでもよくは…「あっ、でも、クリアは家を継げませんからね?如何なる理由であれ、不意に消えた者を後継者に選ぶ程、五大貴族は甘くはありませんよ」
フォローした後、まだ不満そうなガルスの言葉を遮り、アリスはそうクリアには厳しめに言った。
その言葉からガルアにこれ以上何も言わせないという意志と、ヴァンス家の当主夫人としての厳しさを垣間見る事が出来た。
「それとレイラさん。六年間も息子を助けて頂きありがとうございます。これからもよろしくお願いしますね?」
息子に対してとは反面、ひどく落ち込んでいるレイラにはとても優しく言葉をかける。
「構いませんよ、母上。俺は自由が大好きですから。そうだよな?レイラ」
もう継ぐ気は毛頭無いですから。とクリアは更に言う。
継ぐために戻ってきたのならば母親の態度は酷くショックなものだろうが、継がない気のクリアからすれば、レイラをフォローしてくれたアリスの態度はとてもありがたいものだった。
「お母さま、ありがとうございます……。……うん!」
レイラはクリアの問いに笑顔で頷いた。
情報量の多さに呆然としてるキルと、アリスに遮られたせいで黙っているしかないガルアを横目に三人が笑い合ってた時に、勢いよく広間の扉が開いた。
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