第ニ節 帰還そして始動

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 厳しく、そして鋭い目でクリアの眼を見てリートは言う。そこには、彼が五大貴族であるということを意に介している様子は全くない。 「知っているかとは思うが、このセイン学園はそれ相応の能力をもった者以外は入学することはできない。」  ミストラルには魔力の有無関係なし通う初等教育、魔力を持つ者だけが通う中等教育、そして中等教育で一定以上の成績を修めた者だけが通う高等教育の3種の教育機関がある。  6年前のクリアは、その年齢にしては飛び抜けた能力を持ってたが、高等教育たるセイン学園に入学できるほどの実力はない。  もし、6年の間で鍛錬を積んでいないのであれば、いかに五大貴族に類するものであっても、入学は認められない。 「では、お言葉に甘えさせてもらいます。そして、この学園に通うに相応しい力を見せればいいんですね?」  どこか嬉しそうな表情を浮かべながら、クリアは堪える。  小学生の頃ならともかく、流浪の旅をしていた彼にとっては、五大貴族という名はもう特に意味を成していなく、むしろ色眼鏡で見られないことはとしても喜ばしいことだった。
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