第ニ節 帰還そして始動

38/45

1459人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ
「あぁ、そうだ」  変わらず厳しい目でリートは答える。 「うーん、ですが……」  クリアは何故だか言葉を濁し、直ぐにしようとはしなかった。  そんな様子の察したリートが、クリアに言った。 「一応は五大貴族ということで、この部屋から魔力が洩れない様にしている。周りへの影響は気にせずともいい」  魔力量に圧倒的な差がある時、魔力が低い者が高い者の魔力に耐えられずに気絶、又は動けなくなる事がある。その事をクリアは心配していたのだ。  学生レベルでは通常考えられないが、今日は入学式ということもあり、まだまだ魔力量の低い新入生達が学園にいる。このため、あくまで念のためであるがリートは魔力障壁を展開していた。 「分かりました。では、いきます」  クリアは魔力を半分だけ解放して、力を示す。これに呼応するように、彼の周りの空気が振動し、さらには部屋全体が大きく揺れ始める。   「……!これほどとは!」
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1459人が本棚に入れています
本棚に追加