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「あぁ、そうだ」
変わらず厳しい目でリートは答える。
「うーん、ですが……」
クリアは何故だか言葉を濁し、直ぐにしようとはしなかった。
そんな様子の察したリートが、クリアに言った。
「一応は五大貴族ということで、この部屋から魔力が洩れない様にしている。周りへの影響は気にせずともいい」
魔力量に圧倒的な差がある時、魔力が低い者が高い者の魔力に耐えられずに気絶、又は動けなくなる事がある。その事をクリアは心配していたのだ。
学生レベルでは通常考えられないが、今日は入学式ということもあり、まだまだ魔力量の低い新入生達が学園にいる。このため、あくまで念のためであるがリートは魔力障壁を展開していた。
「分かりました。では、いきます」
クリアは魔力を半分だけ解放して、力を示す。これに呼応するように、彼の周りの空気が振動し、さらには部屋全体が大きく揺れ始める。
「……!これほどとは!」
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